10周年のごあいさつ
3月8日、スリードロップスは開業10周年を迎えました。ここまで続けることができたのは皆様のご支援あってのものです。
以下の文章は今回の記念に、現在スリードロップスをご利用いただいている保護者の方々に宛てたものの引用になります。今後も初心を忘れず一日一日を大切に精進して参ります。どうぞよろしくお願いいたします.
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3月8日、スリードロップスは開業10周年を迎えました。この日を迎えられたのは日頃よりご利用頂いております会員の皆様、そしてスタッフや友人たちのお陰と心から感謝しております。
もう20年近く前になりますが、働きながら小さな子どもを育てる中で「いろいろなお稽古ができる学童があったらどんなに良いだろう」と私自身考えていたことがスリードロップスの萌芽です。暫くして夫が他界、下の子が中学生になったことを機にこのアイデアを形にすることを決め、副代表の中村、友人の麻生田と共に動き始めました。最初に直面したのは「子どもが集まれる・楽器を弾ける」教室という条件の難しさです。十分なスペースがあり、安全で、子ども達がのびのび過ごせる場所。やっとの思いで条件に見合う部屋を見つけ出して交渉、続いて友人たちの助けを借りつつコスト削減のために防音室を手作りし、合間を縫って学童保育所を片端から見学。その他思いつく限りの広報活動をして、まさに0から「スリードロップス」の骨格を作りあげていきました。以降今日に至るまでの10年間は試行錯誤の連続で、教室の移転を含めたくさんの変化がありました。
そんな中でも開業以来変わらず大切にしてきたのは、どんな時も「自分の子供だったらどうするか」を考え子どもたち一人一人に真摯に向き合うことです。お預かりしている子どもたちはみんな生活力・社会性・学力の基礎が形成される大切な時期にいます。人との接し方、自分で考える力、努力の習慣づけ。どんな状況にあっても応用の効く力です。今これらを疎かにすると後で軌道修正が大変ですし、逆にこの時期に育んだものは一生モノの宝になります。これらを形作るのは日々の積み重ねです。スリードロップスはこの重要性を常に認識し、子どもたちの人生が豊かなものになるよう10年にわたり取り組んで参りました。
私には2人の子どもがいます。娘は演劇に進みたいという夢を持ち、息子は歴史やラグビーなど好きなものに熱中する毎日を送っていました。そんな日々が続くと思っていた13年前のある日、2人が高2と中1のころ、夫が病に倒れました。
今考えるととても酷な事でしたが、病床の主人に「パパの見舞いに来なくていいから、家へ帰って勉強しなさい。先はどうなるかわからないから、時間を無駄にしないでとにかく勉強しなさい」と言われ、とぼとぼと家路につく二人の後ろ姿が思い出されます。告知からわずか2ヶ月、父親の死によって2人をとりまく状況は変わりました。
娘は娘なりに状況の変化を理解したのか「長女としての自覚」と言って朝から晩まで熱中していた演劇を辞め、家事を手伝いつつ一貫校ゆえに経験のなかった受験勉強にシフト、医学部を卒業して医師になりました。
息子は息子で父親の死をきっかけに受験勉強を始めて東大に進学、物理で大学院まで行く一方で文系学部の友人とのゼミを開いたり創作活動だったり精力的に活動して、4月に就職が控えています。
先日2人に当時の心境を聞いたところ、「状況が一変して右も左もわからない中で、とにかく今のままではいけない、自力で立てるようにならなければ、そのためにとにかく行動に移さねばと思った」とのことでした。
以上の体験は極端な例ではありますが、私はこの経験を通じて人生何があるかわからないし、子どもたちの夢や考えもどう変わるかわからないものだと痛感しました。スリードロップスで私が「何事にも対応できる基礎を身に付ける事が大切だ、日々積み重ねるのが大切だ」としつこいくらい強調し続けているのは、何が起きるかわからない子どもたちの長い将来、一生役に立つ宝をあげたいと考えているからです。
これまで書いてきた考えは開業10年経った今でも変わりません。これからも今まで同様、大切なお子様のかけがえのない時間を預かっているという認識をスタッフ一人一人が共有し、誠心誠意取り組んで参りたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。
スリードロップス代表 財津 由美
by threedrops | 2022-03-08 11:43